鳥居みゆきの面白さ

ニコニコ動画から有名になり始めているピン芸人鳥居みゆき。最初はあるあるネタで売ろうとしていたようだが、現在は精神病患者的な芸風である。随所に現れる言語センスなどからインテリジェンスは高いような印象を受ける。個人的にはかなりツボだったので、ニコニコ動画にうpされているものは全て視聴し、今日のGyaoの生放送も見た。めちゃくちゃ面白い。折角だからなぜ面白いのかを考えてみる。


1、ルール破り

ルールと言っても様々な段階のものがある。「サッカーで手は使ってはいけない」っていうレベルの明文化されたルールから、話しかけられたら答えるというレベルの明文化されないルールまで。鳥居みゆきはそのどれも破っているが、特に明文化されないルールを破るのが巧み。それによってキチガイっぷりを出している。


2、禁忌やぶり

まあ1と似ているが、倫理的・道徳的にアウトという要素が入っている。先輩に敬意を示そうともしなかったり、想像妊娠している胎児を「このゲル状!煮こごり!アルデンテ!ミディアムレア!」と罵りながら殴ってみたり。禁忌やぶりっていうのは、破れないはずの禁忌を破るからこそ面白い。


3、演技力の高さ

間の取り方、顔の表情、笑い方などの演技の完成度が高い。目鼻立ちが整っている分、それが狂気に歪んだときのギャップが激しくなっている。演技力の高さはキャラを作ったり、漫才系ではなくコント系をする際には必須の能力。



ここで面白さというものについて考えてみる。

面白さには色々あるけど大別すると、意外性によるものか、予定調和によるものかの二つだと思っている。意外性はまあ意外なら何でもよくて、予定調和は要するにお馴染みのギャグのこと。例えばビートたけしのコマネチとか。予定調和の面白さは、共感に訴えたり、安心感を使ったり、誰が言うのか、どういう空気で言うのか、なんて様々なものを付随させて成り立っている。

様々なものを付随させて作るとどうなるかというと、マイルドになる。どこで笑えば良いのか提示してくれたり、みんなが笑うから空気で笑えたりする。聞き手に要求されるものは常識くらいなので大半の人が楽しめるというメリットがあるものの、色々くっつけて鈍重になった分切れ味が低下する。

僕はこの予定調和が嫌いで、意外性が大好き。面白さ以外のタグをつける努力をするくらいなら、肝心な面白さの部分を鍛えろよっていう意見で。


ここで鳥居みゆきに戻ってみると、鳥居みゆきは予定調和が皆無で意外性のカタマリだ。しかもダークによって意外性を持たせている。ダークなのも意外なのも好きな僕にとっては最高の芸人というわけで。まあ意外性の維持の仕方のせいで、倫理観無視とかしちゃうのでテレビにでれなかったりするのが残念だけど。もちろんそういう芸風を選んでしまったから仕方ないんだけど。